むらさき橋と紫草

玉川上水の吉祥寺・三鷹間には「万助橋」 「むらさき橋」 「三鷹橋」という三つの橋が架かっています。

今日はそのうちのひとつ「むらさき橋」についてのお話です。

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むらさき橋の名前は、はるか遠い昔から武蔵野の地に多く咲いていた「紫草」と言う植物からつけられました。

上記の和歌はこのように歌っています。

紫草のその一本のために、武蔵野の草はすべて愛おしいものとみえる

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紫草:国営武蔵丘陵森林公園提供

紫草は夏に咲く小さくて可憐な白い花で、今ではその自然栽培は大変難しく絶滅危惧種に指定されています。

その根は昔から染料として使われていました。

あかねさす 紫野行き標野行き 野守はみずや 君が袖振る (額田王 ぬかたのおおきみ)

この歌の「野守」とは紫草が咲く畑で花の番をする見張り番のことだそうです。とても大切な植物だったのですね。

また聖徳太子の冠位十二階の最上位色ともされ、大変高貴な色として尊ばれていた事がわかります。

この紫染は江戸時代に「江戸紫」として大流行しました。

  • 井の頭池を水源として造った神田上水の水をふんだんに使うことができたこと。
  • 紫染に必要な媒染で使う椿灰を伊豆大島から供給されたこと。

これらが要因になり、江戸の町で盛んに染められたと考えられます。

秋の空気が心地よくなってきました、みなさまもぜひ、玉川上水~井の頭池へのお散歩におでかけしてみてください。

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